不動産相続で「名義変更しないまま放置」すると起きる5つのトラブル
親や配偶者が亡くなり、不動産を相続したものの、「手続きが面倒そう」といった理由で名義変更(相続登記)をしないまま放置しているケースは少なくありません。しかし、不動産の相続において名義変更を先延ばしにすることは、将来的に大きなトラブルを招く原因となります。
ここでは、相続登記をしないまま放置した場合に起こりやすい具体的なトラブルを5つ紹介します。
不動産の相続登記をしないまま放置すると起きる5つのトラブル
1.相続人が増えて話し合いが極端に難しくなる
名義変更をしないまま年月が経過すると、相続人の一部が亡くなり、その子どもや配偶者が新たな相続人になります。
当初は兄弟2人だけの話し合いで済んでいたものが、10年、20年経つと相続人が指数関数的に増えてゆき、100人以上に増えることも珍しくありません。相続人の中にはお互い顔も名前も知らない親族が含まれることもあり、遺産分割協議が事実上不可能になるケースもあります。
こうなると、専門家の費用だけで100万円を超えることもあり、経済的負担も大きくなる恐れがあります。
2.不動産を売却・担保にできない
不動産の名義が被相続人のままでは、売却や担保設定(抵当権設定)ができません。
※法律上は可能ですが、実務上は被相続人名義のままの不動産を売ったりすることはできません。
「空き家を処分したい」「相続不動産を売って現金で分けたい」と思っても、まず相続登記を済ませる必要があります。相続人が増えている場合、全員の同意や書類の収集が必要となり、結果として売却自体を断念せざるを得ないこともあります。
3.固定資産税の負担や管理責任が曖昧になる
名義変更をしていなくても、固定資産税は毎年課税されます。実際には誰が使っているのか、誰が管理しているのかが曖昧なまま、代表者がなんとなく支払っているケースも多いでしょう。
しかし、老朽化した建物が倒壊したり、雑草や害虫で近隣に迷惑をかけたりした場合、管理責任を巡って相続人同士で揉める原因になります。 管理されず倒壊した建物が景観を台無しにしてしまっているケースもあり、こうなると地域の「悩みの種」になってしまう可能性があります。
4.相続登記義務化による過料のリスク
2024年4月から相続登記は義務化され、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
「昔の相続だから関係ない」と思われがちですが、過去の相続であっても相続登記義務化の対象です。2024年4月より前に相続が開始した不動産は、2027年3月31日までに相続登記を申請しなければなりません。
5.次の世代に大きな負担を残してしまう
名義変更をしないまま亡くなってしまうと、その子どもが複雑な相続関係を整理しなければなりません。
戸籍の収集範囲が広がり、手続き費用や時間的負担も大きくなります。「親がきちんと相続登記をしてくれていれば…」と後悔するケースは非常に多いのが実情です。
トラブルを防ぐために弁護士に相談するメリット

相続や不動産、金銭トラブルなどは、「まだ大丈夫」「揉めてから考えればいい」と後回しにされがちです。しかし、多くのトラブルは事前の対応次第で防ぐことができます。その有効な手段の一つが、早い段階で弁護士に相談することです。ここでは、トラブルを未然に防ぐために弁護士へ相談するメリットについて解説します。
法的なリスクを事前に把握できる
弁護士に相談する最大のメリットは、将来起こり得る法的リスクを事前に把握できる点にあります。本人同士では問題ないと思っている約束や取り決めでも、法律上は無効だったり、後々争いの原因になったりするケースは少なくありません。
弁護士は第三者の立場から冷静に状況を整理し、どこにリスクが潜んでいるのかを明確にしてくれます。
感情的な対立を避けやすくなる
トラブルが深刻化する原因の多くは、法律問題そのものよりも感情的な対立です。特に相続や家族間の問題では、話し合いが感情的になりやすく、関係修復が難しくなります。
弁護士が間に入ることで、直接的な対立を避け、冷静な話し合いの土台を作ることができます。
不利な立場に立たされるのを防げる
知識がないまま相手の主張を受け入れてしまい、後から「そんなつもりではなかった」と後悔するケースも多く見られます。
弁護士に相談しておけば、自分の立場や権利を正確に理解したうえで対応できるため、不利な条件を押し付けられるリスクを減らすことができます。
書面化・証拠化が適切に行える
トラブル防止には、口約束ではなく、内容をきちんと書面に残すことが重要です。弁護士は、将来の紛争を想定した契約書や合意書などを作成し、曖昧な表現や抜け漏れを防ぎます。
これにより、「言った」「言わない」といった争いを未然に防ぐことができます。
とはいっても、実際にはきちんとした場を設けたり、専門家を交えて話し合ったりすることなく、「そのときは話がまとまったつもりだった」という状態で終わっているケースも多いのが現実です。
相続は感情が絡みやすい分、後から「言った」「言わない」の争いに発展しやすく、書面に残しておかなかったことを後悔される方も少なくありません。
結果的に時間と費用を抑えられる
弁護士費用を心配して相談をためらう方もいますが、トラブルが大きくなってから解決を依頼する方が、結果的に時間も費用もかかることが多いのが実情です。
「はじめから弁護士に相談すればよかった」と後悔する方も多いです。
早期に相談することで、紛争化を防ぎ、最小限の負担で問題を解決できる可能性が高まります。
まとめ
不動産の相続において名義変更をしないまま放置することは、一見問題がないように見えても、将来的に大きなトラブルを引き起こします。
相続人が少なく、関係が良好なうちに相続登記を済ませておくことが、最も確実なトラブル回避策です。
不動産の相続でお悩みの場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。