経営者保証の解除・免除をしてもらうために

2023年5月9日(火)の日本経済新聞に、興味深い記事がありました。「原則、経営者保証を求めない」地方銀行と、「プロパー融資の経営者保証を廃止」した地方銀行の名前が記載されています。

地銀、経営者保証求めず 10行超、融資慣行見直し 起業や事業転換促す - 日本経済新聞
地方銀行で融資先の企業に経営者保証を求めない動きが広がっている。八十二銀行や山陰合同銀行、福岡銀行など少なくとも10行以上が原則、経営者保証を求めないことにした。万が一の場合、経営者個人が私財を差し出して借金を返済する経営者保証は、心理的負...

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1. 「原則、経営者保証を求めない」「プロパー融資の経営者保証を廃止」した銀行名

上記の日本経済新聞の記事によると、「原則、経営者保証を求めない」地方銀行は

「北洋銀行(北海道)」「八十二銀行(長野県)」「紀陽銀行(和歌山県)」「山陰合同銀行(島根県)」「西京銀行(山口県)」「阿波銀行(徳島県)」「福岡銀行(福岡県)」「十八親和銀行(長崎県)」「熊本銀行(熊本県)」

「豊和銀行(大分県)」「琉球銀行(沖縄県)」の11行です。

また、「プロパー融資の経営者保証を廃止」した地方銀行は、「北国銀行(石川県)」の1行のみです。

経営者保証を免除や解除するために絶対必要なことは

「経営者保証を求めない金融機関や経営者保証解除に積極的に取り組んでいる金融機関と融資取引を行っておく」

ことです。

21行取引しかない事業者には難題

経営者保証解除に消極的な金融機関といくら交渉しても、前向きな対応は期待できません。とくに1行取引の事業者が相手の場合、その傾向が顕著です。以下、金融機関の視点で考えてみましょう。

取引先の立場のほうが弱いと踏んだら、金融機関が自行に不利な条件で融資を行うわけがありません。極端な話、「弊社が貸さなければ、他から資金調達をすることができませんよね? 弊行の条件を受け入れられないなら融資はできません」という姿勢を取れるからです。

3.他の選択肢があれば交渉の場に立てる

一方、他に「経営者保証を求めない金融機関」や「経営者保証解除に積極的に取り組んでいる金融機関」と融資取引がある企業に対しては、強い姿勢で交渉しにくいもの。

「経営者保証の解除なんてとんでもない」と自行の条件を主張したところで、「では他の金融機関に」と逃げられるのがオチです。最悪の場合、いま融資している「既存融資」も他行に「経営者保証免除」で「肩代わり」されることもあり得ます。

「経営者保証に関するガイドライン」の要件をクリアしている企業は、通常、金融機関にとって「優良融資先」であることが少なくありません。そんな優良融資先の既存案件を「他行肩代わり」されてしまうと、担当支店の評価は急落。とくに支店長は、肩代わりを防ぐ策を講じざるを得ません。

他行との融資取引がどれだけ有利に働くか、これでおわかりでしょう。他行の選択肢を持っておけば既存融資の経営者保証解除も、また新規融資の経営者保証免除も、交渉する余地が生まれるのです。

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