遺産分割の弁護士費用は誰が払う

「この記事の監修:弁護士 宮内 裕(宮内法律事務所)

福岡でも、遺産分割の話し合いがまとまらない際、「弁護士を雇いたいが、その費用は誰が負担するのか」という悩みは非常に多く寄せられます。

本記事では、弁護士費用の負担ルールから、裁判になった場合の取り扱い、そして具体的な費用の相場まで、実務上のポイントを網羅して解説します。

遺産分割における弁護士費用は誰が払うのか

弁護士費用は「依頼した本人」が払うのが原則

遺産分割の弁護士費用は「依頼者本人」が負担

結論からいえば、遺産分割における弁護士費用は、原則として弁護士に依頼した人が自分で払うことになります。

たとえば、相続人の一人が遺産分割協議において自分の取り分を守るために弁護士に依頼した場合、その弁護士費用はその相続人の自己負担です。相手方となる他の相続人に自動的に請求できるわけではありません。

これは家事事件や民事事件全般に共通する考え方で、「自己の権利を守るための費用は自己が負担する」というのが法律上の基本です。福岡での遺産分割時などの相続トラブルにおいても、例外ではありません。

「相手が悪いのだから相手が払う」は通用する?

遺産分割でもめると、「相手が話し合いに応じないから弁護士をつけたのだ」「相手のせいで余計な出費が生じたのだから、相手が払うべきだ」と感じる方もいます。

しかし、通常の遺産分割協議や遺産分割調停では、弁護士費用を相手方に請求できるケースはほとんどありません。

たとえ最終的に自分の主張が通ったとしても、弁護士費用は依頼者自身が各自負担するというのが原則です。

例外的に相手に請求できる場合はある?

遺産の使い込み等で相手に請求できるケースの流れ

もっとも、請求できない場合が全くないわけではありません。

たとえば、遺産分割中に相手方の不法行為が発覚し、不法行為に基づく損害賠償請求が認められるケースでは、一定範囲(通常は認められた損害額10%とされることが多いです。)で弁護士費用相当額が損害として認められる可能性はあります。

代表例は、他の相続人が遺産を無断で使い込んでいた場合です(いわゆる遺産の使い込み問題)。このような場合には、「不法行為に基づく損害賠償請求」を行い、その中で弁護士費用の一部が損害として認められる可能性があります。

ただし、これはあくまで他の相続人に対して「不法行為」に基づく請求が認められた場合に限られ、通常の遺産分割協議とは性質が異なります。

遺産の使い込み問題については、こちらの記事(被相続人名義の通帳を使われてしまった時の対応とポイント)で詳しく解説しています。

相続財産から弁護士費用を出すことはできる?

「遺産分割なのだから、弁護士費用も相続財産から出せばよいのではないか」と考える方もいます。

しかし、これも原則としてはできません。相続財産は相続人全員の共有財産であり、一部の相続人のための弁護士費用を当然にそこから支出することはできないからです。

もっとも、後の話し合いで相続人全員が合意すれば、相続財産から弁護士費用を支出することは可能といえます。たとえば、「相続人全員で一人の弁護士を選任する」「その弁護士に遺産分割全体の整理を依頼する」といった場合には、合意のうえで遺産から支出することも考えられます。

しかし、相続人間で対立構造になっている場合には、このような合意が成立することは難しいです。

調停や訴訟になった場合はどうなる?

遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所での調停や訴訟に進んだ場合でも、弁護士費用は原則として各自負担です。

また、民事訴訟に至った場合において、一般の民事訴訟では、敗訴者が訴訟費用を負担するという制度がありますが、ここでいう「訴訟費用」には弁護士費用は含まれないとされています。「裁判に勝てば相手に払わせられる」と思われがちですが、日本の民事裁判制度において、一般的な弁護士費用は「訴訟費用」に含まれず、各自が負担するのがルールです。

遺産分割の調停や訴訟でも同様に、弁護士費用はそれぞれが負担することになります。

遺産分割にかかる弁護士費用の相場

では、実際に弁護士に依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
多くの法律事務所が採用している旧日弁連基準に基づいた一般的な目安(相場)は以下の通りです。

1. 着手金の相場:20万円〜50万円程度

着手金は、遺産の総額や争う範囲(経済的利益)に応じて変動します。

  • 経済的利益が300万円以下: 8%程度〜
  • 経済的利益が300万円〜3,000万円: 5% + 9万円程度

2. 報酬金の相場:獲得金額の10%〜16%程度

無事に解決した際に支払う報酬金は、実際に獲得した遺産額の数%という形で設定されます。

  • 経済的利益が300万円以下: 16%程度
  • 経済的利益が300万円〜3,000万円: 10% + 18万円程度

※これらはあくまで一般的な目安であり、不動産の有無や相続人の数によって前後します。

遺産分割の弁護士費用に関する注意点

費用倒れにならないかの検討

遺産分割で弁護士に依頼する場合、弁護士費用と最終的に得られる経済的利益とのバランスを考えることが重要です。

たとえば、争っている金額が小さい場合には、弁護士費用のほうが高くついてしまう可能性もあります。「取り戻せる額よりも弁護士費用の方が高くなる」という、いわゆる「費用倒れ」の状態にならないか、事前に見積もりを確認し、費用対効果を検討することが不可欠です。

「費用倒れ」のリスクと事前の検討

着手金と報酬金の仕組みを理解する

法律事務所によって費用体系は異なりますが、一般的には「依頼時の着手金 + 解決時の報酬金」という構成が主流です。

  • 着手金: 結果の成功不成功にかかわらず、事件に着手する際にお支払いいただく費用です。
  • 報酬金: 最終的に得られた(あるいは守った)遺産の額など、解決の内容に応じて決まる成功報酬です。

依頼前に「どの範囲まで対応してもらえるのか」「追加料金の有無」を明確にしておくことが、トラブルを防ぐ鍵となります。

宮内法律事務所の安心への取り組み

福岡に拠点を置く宮内法律事務所では、ご依頼者様にとって「想定外の出費」とならないよう、事前の丁寧な説明と透明性を徹底しています。

  • 相談料の充当制度:当事務所では、ご相談後に正式なご依頼(委任契約)となった場合、事前にお支払いいただいた法律相談料(30分ごとに5,000円)は、そのまま着手金の一部に充当させていただきます。実質的に「相談料が着手金に含まれる」形となるため、まずは安心して現状をお聞かせください。
  • 透明性の高い見積もり提示:ご相談時に、遺産の総額や争点の複雑さに応じた詳細な費用シミュレーションを提示いたします。
  • 費用対効果(費用倒れ)への配慮:獲得できる遺産よりも弁護士費用のほうが高くなってしまう「費用倒れ」のリスクについても、専門的な視点から正直にお伝えします。
  • 明確な契約体系:何に対して、いつ、いくらかかるのかを明確にし、十分にご納得いただいた上で契約を結んでいただきます。

遺産分割は、単なる金銭の問題だけでなく、ご親族間の感情が絡む非常にデリケートな問題です。当事務所では、費用面の不安を解消した上で、福岡の皆様が最適な解決策へ一歩踏み出せるよう全力でサポートいたします。

相続全体の流れと解決策を知りたい人向け

弁護士費用についてご理解いただけたかと思いますが、実際の相続手続きは、期限や必要書類など、他にも注意すべき点が多くあります。

遺産分割の流れ全体や、トラブルを早期に解決するためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【弁護士監修】福岡の相続・遺産分割完全ガイド|手順と解決策

まとめ

「遺産分割の弁護士費用は誰が払うのか?」という問いに対する答えは、原則として「依頼した本人が払う」です。

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 通常の遺産分割では各自負担(相手には請求できない)
  • 調停・裁判になっても各自負担の原則は変わらない
  • 例外は不法行為などが認められる場合
  • 相続財産から支出するには、相続人全員の合意が必要
  • 「費用倒れ」を防ぐため、依頼前にシミュレーションを行うことが重要

遺産分割トラブルは感情的対立が生じやすく、長期化することも少なくありません。だからこそ、弁護士費用の負担について正しく理解し、冷静に判断することが重要です。

依頼を検討する際は、費用の仕組みや見通しについて法律事務所から十分に説明を受けたうえで、納得してから進めるようにしましょう。

この記事の監修者

宮内法律事務所 代表弁護士 宮内 裕
(福岡県弁護士会所属 / 登録番号:第44371号)

「法的な正しさ」と「人としての納得」を両立させる。

元福岡県庁職員という、行政実務を知り尽くした異色の経歴を持つ弁護士。福岡・博多を中心に、相続・交通事故・企業法務の3分野に特化して活動中。

相続や遺産問題では、遺産分割から、高度な交渉が必要な使い込み調査・遺留分請求、複雑な事案、数億円規模の解決など相続全般を対応。

交通事故では、300件以上の対応実績で、適正な後遺障害認定と賠償獲得のため、保険会社とのタフな交渉を代行。企業法務でも、元行政職員の視点を活かし、未然に紛争を防ぐ予防法務とリスク管理を得意とする。

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