【遺産がもらえないを防ぐ】遺留分侵害額請求|2026年最新の方法と注意点

相続

2026.01.21

正当な遺産を守る遺留分の対策

「この記事の監修:弁護士 宮内 裕(宮内法律事務所)

相続においては、被相続人(亡くなった方)が贈与により財産を譲り渡したり、遺言によって財産の分け方を自由に決めることができます。しかし、それらが無制限に認められてしまうと、特定の相続人がまったく財産を受け取れないという不公平な結果が生じることがあります。
そこで、一定の相続人に対して遺留分を認めています。この遺留分が侵害された場合に行う請求が、遺留分侵害額請求です。

遺留分侵害額請求権とは?

遺留分そのものの仕組みや、誰にどれくらい認められるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

遺留分を有する相続人が遺留分を侵害された場合に、財産の受遺者や受贈者に対し、その侵害された分に相当する金銭の支払いを請求することができます。これが遺留分侵害額請求権です。

遺留分侵害額請求ができる人

遺留分侵害額請求をすることができるのは、遺留分が認められている相続人です。遺留分を有するのは、相続人のうち、次の人たちです。

  • 被相続人の配偶者
  • 直系卑属
  • 直系尊属

被相続人の配偶者

被相続人の配偶者とは、婚姻により夫または妻となっている者です。内縁の配偶者は相続人ではありませんので遺留分もありません。よって、例えば内縁の妻だった者が遺留分侵害額請求権を行使することはできません。

逆に、内縁の妻に全財産を譲り渡すような遺言をすると、相続人から遺留分侵害額請求を受けてしまう恐れがあります。

直系卑属(実子、養子、孫など)

被相続人の直系卑属(子、孫など)が該当します。子には実子のほか、養子も相続人となるため、遺留分を有します。

また、被相続人と前配偶者との間に子がいる場合(例:連れ子)は、その者も相続人となり、遺留分を有します。その他、代襲相続人(例:子を代襲して孫が相続人となる場合)、その代襲相続人も遺留分を有します。

直系尊属

直系尊属とは、被相続人の親や祖父母が該当します。
祖父母が相続人となるのは、被相続人が亡くなった時、親が既に亡くなっている場合が該当します。

遺留分侵害額請求の対象となるケース

遺留分侵害額請求が問題となるのは、例えば次のような場合です。

  • 遺言で「全財産を第三者に遺贈する」と指定されている
  • 生前に特定の相続人や第三者へ多額の贈与が行われている
  • 内縁の配偶者や特定の団体に財産が遺贈されている

これらの結果、遺留分を持つ相続人の取り分が遺留分額を下回った場合、その分について金銭での請求が可能となります。

遺留分侵害額請求をされたくない場合の対策

相続対策として遺言書を作成したものの、遺留分侵害額請求を受けてしまい、結果的に相続トラブルへ発展するケースは少なくありません。遺留分は法律で保障された権利であるため、完全に排除することはできません。それでも請求されにくくする工夫を行うことは可能です。

遺留分を意識した遺言内容にする

最も基本的な対策は、遺留分をあらかじめ考慮した遺言書を作成することです。特定の相続人に多くの財産を与えたい場合でも、他の遺留分権利者の最低限の取り分を確保しておけば、請求される可能性は大きく下がります。
遺留分を無視した極端な内容の遺言は、相続開始後の紛争の原因になりやすいため注意が必要です。

付言事項で想いを伝える

遺言書には、法的効力のない付言事項を記載することができます。付言事項には、なぜそのような財産分配にしたのか、家族への感謝や想いなどを記すことが可能です。
法的拘束力はありませんが、相続人の感情面に配慮することで、遺留分侵害額請求を思いとどまってもらえるケースも考えられます。

あらかじめ弁護士に相談する

遺留分侵害額請求がされることを想定し、早めに弁護士に相談し、状況に合った対策を講じることが、円満な相続への近道といえるでしょう。

「遺留分減殺請求」からの制度変更

2019年の民法改正により、それまでの「遺留分減殺請求」は遺留分侵害額請求へと変更されました。従来は、不動産などの財産そのものを取り戻す請求が可能でしたが、改正後は金銭請求が原則となっています。

この変更により、相続した不動産を共有状態に戻す必要がなくなり、相続関係の複雑化を防ぎやすくなりました。ただし、相続の開始時期によっては旧制度が適用される可能性もあるため、不明な場合は弁護士に相談することが重要です。

遺留分侵害額請求の期限

遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。

相続開始の時から10年を経過したときも、同様に消滅します。

「遺留分侵害額請求権が行使されるかもしれない」という不安定な状況が延々と続かないよう、行使できる期限が定められています。

まとめ

遺留分侵害額請求を行うか迷っている場合、弁護士へ相談すべきタイミングについても参考になります。

遺留分侵害額請求は、相続における公平性を保つための重要な制度です。しかし、計算方法や期限、実務上の対応には注意点が多く、安易に判断すると不利な結果を招くおそれがあります。

遺言や生前贈与によって不公平を感じた場合は、早めに専門家へ相談し、適切な対応を取ることが大切です。

この記事の監修者

宮内法律事務所 代表弁護士 宮内 裕
(福岡県弁護士会所属 / 登録番号:第44371号)

「法的な正しさ」と「人としての納得」を両立させる。

元福岡県庁職員という、行政実務を知り尽くした異色の経歴を持つ弁護士。福岡・博多を中心に、相続・交通事故・企業法務の3分野に特化して活動中。

相続や遺産問題では、遺産分割から、高度な交渉が必要な使い込み調査・遺留分請求、複雑な事案、数億円規模の解決など相続全般を対応。

交通事故では、300件以上の対応実績で、適正な後遺障害認定と賠償獲得のため、保険会社とのタフな交渉を代行。企業法務でも、元行政職員の視点を活かし、未然に紛争を防ぐ予防法務とリスク管理を得意とする。

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