2023年 2月 の投稿一覧

新設法人が銀行口座をスムーズに 作る方法

最近、「銀行口座が作れない」という新設法人からの相談が増えています。

以前は新設法人が金融機関で法人口座を作るのは、さほど難しくありませんでした。が、今はハードルが上がっています。法人口座を作ることができなければ、創業融資を借りることもできません。

今回は、「新設法人が法人口座をスムーズに作る方法」についてお伝えいたします。

※本情報での「銀行口座」は「銀行や信用金庫・信用組合の普通預金口座」です。便宜的に「銀行口座」と表記しています

1.法人口座を作るためには申し込む金融機関選びが重要

「法人口座が作れない」と相談する経営者の多くは、「都市銀行」「大手地方銀行」に申し込んでいます。設立間もない新設法人が都市銀行や大手地方銀行で法人口座を申し込んで断られるのは、実は一般的なことなのです。なぜなら、都市銀行や大手地方銀行は、比較的小規模の新設法人との取引にメリットを見いだしにくいため、断るケースが多くなります。

2.地域密着型金融機関を訪問しよう

一方、第二地方銀行、信用金庫、信用組合などの「地域密着型金融機関」では、新設法人の法人口座開設のハードルは低めです。都市銀行や大手地方銀行は小規模の新設法人との新規取引に慎重ですが、地域密着型金融機関にとって規模は大きな問題ではありません。むしろ「ちょうどよい大きさの企業」として、上手につきあうことで取引深耕が図れる相手として見てくれます。

地域密着型金融機関なら新設法人でも、法人口座を開設してくれる可能性は高いのです。

3.法人口座開設を断られやすい企業とは

とはいえ地域密着型金融機関なら、かならず法人口座を作ることができる…とは限りません。

もちろん地域密着型金融機関も法人口座開設の審査を行うのですが、審査の過程で断られる可能性が高いのは、「登記している本店の住所がレンタルオフィスやバーチャルオフィス」「固定電話がない」「ホームページがない」「資本金が少額」「法人登記されている住所と、実際に事業を行っている場所が一致しない」「事務所の賃貸借契約書がない」「事業内容が不明瞭」といった「事業実態がないのでは?」と疑われる可能性の高い法人です。

4.事前に準備しておけば口座開設に有利になる資料・行動

以下の資料を準備したり、行動することで、口座開設に有利に働きます。

 ・事業計画書(「どのような事業を行う会社なのか」を金融機関が把握することができます)

 ・会社案内やホームページを印刷したもの(運営実態、また事業への本気度を伝えることができます)

 ・賃貸借契約書(会社の運営実態を明確に証明することができます)

 ・社長が事業実態を自分の言葉で説明

認定経営革新等支援機関に登録されました

 令和5年2月23日付で 弁護士宮内が中小企業庁から認定経営革新等支援機関の認定を受けました。

 これまで以上に、中小企業の皆様の経営計画策定、融資、補助立つことがで立つことができるようになりましたので、お気軽にお問い合わせください。


「経営者保証」への金融機関の対応が変わります

金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づいて、金融機関に対して監督・指導を行っています。

2023年12月13日に金融庁は、経済産業省・財務省と連携の上、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させるため「経営者保証改革プログラム」を公表しました。

その流れを受けて金融庁は2023年4月から「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を改定し、各金融機関が「融資の際、経営者保証を徴求しない流れ」を作ろうとしています。

この流れにうまく乗ることができれば、新規融資の際に経営者保証をしなくてすむようになりますし、現在、差し入れている経営者保証の解除も可能になります。

1.経営者保証を徴求する場合、金融機関には説明義務が生じます

2023年4月から、融資実行時に「経営者保証」を徴求する場合、金融機関は以下の2点について説明する義務が発生します。

 1/どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか

 2/どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか

2.経営者保証が必要だと言われたら説明を求めることができるようになります

融資の際に金融機関から「経営者保証」を求められたにもかかわらず、「どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか」の説明がない場合は、説明を求めることができます。

同時に、「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」についての説明を求めることができるようになるので、その説明を明確に聞くことができれば、金融機関が指摘する点を改善することができれば「経営者保証の解除」を求めることができるようになります。

3.説明を求めても説明してもらえない場合の対処法

2023年4月から金融庁には「経営者保証専用窓口」が設置されます。金融機関から「経営者保証徴求の際の説明がない」場合、 「経営者保証専用窓口」に相談すると、金融庁から当該金融機関に対し、指導が入ることになります。

4.いきなり「経営者保証相談窓口」に相談することは避けましょう

融資実行の際に担当者から経営者保証に関する相談がない場合、いきなり「経営者保証相談窓口」に駆け込むのは避けましょう。そうしてしまうと、支店や金融機関の立場がなくなってしまいます。

まずは、支店長や貸付の責任者に相談してください。担当者の知識不足のために説明がないことは十分考えられます。

支店長や貸付の責任者なら、説明義務についてよく理解しているので、きちんと説明してくれるでしょう。

それでも説明がない場合は、本部の「お客様相談窓口」に相談し、それでも説明がない場合に限り、「経営者保証相談窓口」に相談するという手順をとってください。いらぬトラブルを避けることができます。

新型コロナ関連融資の返済について

 令和2年に新型コロナウイルス感染症特別貸付の借入れをされた企業のうち、据置期間として3年間を選択された企業が最も多かったことから、今年から元金の返済が始まる事業者様が多数おられると思います。

 資金的に余裕がある企業様であれば問題はないでしょうが、必ずしもそうでない事業所様もおられると思います。多少なりとも余裕があるうちに対策を打たない場合、倒産・廃業の憂き目にあうこともないとは限りません。

 法的手続に至る前に、借換やリスケなどにより資金繰りを改善させ、その間に立て直しを行うことで事業を再生させる方法もあります。新型コロナウイルス関連の借入の返済についてご不安がある事業者様は是非、ご相談ください。

 

有料人材紹介会社利用の注意点

 ここ最近、顧問先企業様から有料職業紹介業者の利用に伴うトラブルの相談が頻発しています。

 有料職業紹介事業とは、 有料職業紹介事業とは、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し 手数料又は報酬等の対価を受けて行う職業紹介事 業をいいます。 有料職業紹介事業は、職業安定法(以下「法」といいます。)第 32 条の 11 の規定 により求職者に紹介してはならないものとされている職業(具体的には港湾運送業務に就く職業及び建設業務に就く職業がこれに当たります。) 以外の職業について、 法第 30 条第1項の厚生労働大臣の許可を受けることによって、行うことができます。

 職業紹介にあたって、有料職業紹介事業者は、求職者から手数料を徴収することはできません。したがって、職業紹介事業者の利用に関する費用は、全て利用する企業側で負担することになります。この手数料については、厚生労働大臣に届け出を行う届出制手数料が多くの事業者で採用されています。雇用契約成立時の採用された人の理論年収(雇用契約の月給や手当などから計算される1年分の支給額)をもとにして紹介手数料を定めます。

 例えば紹介された求職者が、理論年収400万円で採用されたとします。あらかじめ基本契約で紹介手数料を30%と定めていた場合には、紹介手数料は120万円となります(別途消費税の負担があることがほとんどです。)。

 紹介手数料の相場は25%~35%であり、この付近に手数料を設定している業者が多いと思われます。40%を超えると届出が受理されないことが多いことがその理由となっているようです。

 人材紹介業者を利用した場合でも、採用は、利用する企業の責任と判断に基づいて行われます。労働者都合により短期(6ヶ月以内くらいが多いようです。)で退職に至った場合には、返金などがされる場合が一般的ですが、別の人材を紹介するという方法で補填するという契約を行う業者もいます。

 採用難から有料職業紹介業者を利用される企業が多いかと思いますが、決して安い費用ではない上、採用企業にとって不利な条項が入っている契約書なども多く見受けられます。

 無登録ではないかと思われる業者と取引をしてしまったケースや返金の条件を巡ってトラブルになるケースなど、様々なトラブルがありますので、契約前には十分な注意が必要です。

 また、人材紹介者の利用によって自社に募集自体のノウハウが蓄積しないというデメリットもあります。 

 有料職業紹介利用を検討される事業者の皆様は、事前に専門家にご相談されることをお勧めいたします。

 当事務所でも、有料職業紹介の利用に関するご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。