2023年 1月 の投稿一覧

同一労働・同一賃金について

 労働者派遣法の改正、パートタイム・有期雇用労働法(短期時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の改正などによって、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、が定められました。

 いわゆる「同一労働・同一賃金」と言われるものです。正規雇用労働者と非正規雇用労働者(短時間労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものとなっています。

具体的な内容な内容は以下のようなものです。

①正規雇用労働者と、非正規雇用労働者の職務内容、職務内容・配置の変更範囲が同じ場合の差別的取扱いの禁止(パートタイム・有期雇用労働法9条)→均等待遇(職務内容、職務内容・配置の変更範囲が同じ場合には差別的取り扱いは禁止)
②正規雇用労働者と、非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を禁止
(パートタイム・有期雇用労働法8条など)→均衡待遇(職務内容、職務内容・配置の変更範囲が異なる場合でも、不合理な待遇差は禁止)

 法改正により、これまでは短時間労働者のみが対象となっていた均等待遇規制が有期労働者にも対象が拡大されました。

 均衡待遇規定について、これまでは旧労働契約法20条の規定がパートタイム・有期雇用労働法8条に移管されて「不合理な待遇差」にあたるか否かを判断する際に当該待遇の性質、目的に照らして適切と認められるかどうかを考慮して判断することが明文化されました。

 不合理な待遇差を解消するための規定の整備として、派遣労働者についても不合理な待遇差を解消するため、労働者派遣法が改正されました。

 このように、かなり大きな法改正がなされており、労働者派遣法の改正を機会に人材派遣会社からの請求額が増加しているということもよくお聞きします。

 上記法改正について対応できているか不安がある事業者様がおられましたら、是非お気軽にお問い合わせください。

コロナ借換保証制度について

2023年1月10日から新しい信用保証制度(コロナ借換保証)が開始されました。新型コロナウイルス感染症の影響の下で債務が増大した中小企業者の収益力改善等を支援するため、借換え需要に加え、新たな資金需要にも対応します。

一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。

1.コロナ借換保証制度の概要

  ・保証限度額 : 1億円

  ・保証期間   : 10年以内

  ・据置期間   : 5年以内

  ・金利   : 金融機関所定

  ・保証料   : 0.2%等(補助前は0.85%)

  ・要件 

   「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」「もしくはセーフティネット4号または5号の認定取得」

   「金融機関による伴走支援」「経営行動計画書の作成」

2.注意点→「コロナ借換保証」の保証料は「0.2%」ではない

「制度概要」の「保証料」をご覧ください。「0.2%等」です。「0.2%」ではなく、「等」がついているのです。

これは、「コロナ借換保証」の保証料が「0.2%」ではないことを意味します。

「コロナ借換保証」を利用する際の要件として、「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」と「セーフティネット4号または5号の認定取得」とあります。この場合は、いずれも保証料は0.2%です。

「売上高または利益率の減少要件(5%以上)」で「コロナ借換保証」を利用する場合は、保証料は0.2%ではなく、0.2%~1.15%となりますのでご注意ください。

3.「売上高または利益率の減少」要件とは

以前までの「伴走支援型特別保証制度」においては、「「前年同月比売上」が20%以上減少している」という利用要件がありました。今回は、「売上が20%以上減少」ではなく、「5%以上減少」と緩和されました。

また「コロナ借換保証」においては、「売上の減少」だけではなく、「利益の減少」も利用要件として加えられました。売上は増加しても、利益が減少している事業者も利用しやすくなったようです。

「利益率の減少」については、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」のどちらかが要件をクリアしていればOKです。

「コロナ借換保証制度」は「民間金融機関によるゼロゼロ融資」の借り換えにも利用出来ます。返済に悩んでいる方は、借入を行った金融機関に相談に行かれることをお勧めします。

経営者保証改革プログラムについて

 令和4年12月23日に経済産業省・金融庁・財務省から経営者保証改革プログラムが発表されました。

 経営者保証を不要とする公庫等の融資制度の創設、経営者保証を金融機関が求める場合の手続の厳格化、経営者ガイドラインの要件を満たしていない場合でも代替手段をとることにより経営者保証を外すことができる制度の創設など、事業者にとってかなり有利な内容となっており、起業の活性化について国の本気度が窺われる内容となっています。

 具体的な内容は、以下のリンクのPDFファイルのとおりです。 https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/01.pdf

 とはいえ、まだ発表されたばかりですので、この内容が金融機関の支店レベルにまで伝達されるには時間がかかるものと思われます。また、個別の施策については、順次実施されますので注意が必要です。また、金融機関にとってかなり厳しい内容ですので、担当者がこれに沿ったスムーズな対応をしてくれるとは限りません。

 金融機関とのスムーズな交渉については、専門家のサポートを受けることをお勧めいたします。弊所でもご相談に応じることは可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

ハラスメント相談窓口について

 2020年に改正された「 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」により、2022年4月1日から中小企業でも従業員のハラスメント問題に対応する体制の整備をすることが求められています。

 この体制整備については、社内に担当者を置くことでも対応は可能ですが、特に中小企業の場合、社内のハラスメント問題を社内の担当者に相談することは困難でしょうから、実際に機能させることは困難であると考えられます。  

 そこで、外部にハラスメント相談窓口を委託することが考えられます。外部窓口であれば、従業員の方も安心して相談することが出来、従業員が効果的なアドバイスを得ることで問題が深刻化する前に解決できる可能性も出てきます。

 ハラスメント関係につきましては、雇用慣行賠償責任保険等の保険にて対応することが可能とはいっても、紛争化した場合、社内のリソースをかなり割かれることになります。中小企業の経営者の皆様におかれましては、効果的なハラスメント相談対応について是非一度お考えになられることをお勧めいたします。

 なお、弊所でも第三者相談窓口サービスを実施しており、実際にご活用を頂き、好評を頂いております。お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

新型コロナ融資返済猶予について

新型コロナウイルスの影響で売上が激減し、資金繰りが苦しくなった事業者のほとんどは、日本政策金融公庫や信用保証協会の保証つきでコロナ融資による資金調達を行いました。

そのおかげで当面は資金繰りが改善されたものの、影響が長引いて売上が以前のように戻らず、再び資金繰りが難しくなっている事業者が増えてきました。今後コロナ融資の返済が始まると、なおさらキャッシュフローが厳しくなります。そんなコロナ融資の返済に悩む事業者が返済猶予期間を延長するための方法について解説します。

1.リスケ(リスケジューリング)

「リスケ」とは、金融機関からの融資に対する毎月の返済が厳しくなったため、金融機関との交渉を経て、返済可能な金額・期間などに変更することです。

返済のスケジュールを見直すことから「リスケジューリング」といい、それを略して「リスケ」と言います。

2.同額借換

通常の融資では、上記の「リスケ」しか返済額を減額するための方法がありませんでした。しかしコロナ融資に関しては、もうひとつ対応策があります。それは金融機関に「同額借換」を依頼することです。

同額借換とは、以前、コロナ融資を借りた金融機関から、同額の融資を再度行ってもらい、その資金で以前の融資の返済を行い、新たに借りた融資の返済猶予期間を、今後、1~5年にすることで返済猶予期間を延ばす方法です。

3.まず「同額借換」を依頼しましょう

リスケを行う際は注意点がひとつあります。リスケをしてしまうと事業者の信用格付けが大幅に下がるため、金融機関はその後の新規融資には応じてくれないようになります。将来、資金調達を行いたいと考えている事業者にとっては、できるだけ避けたい状況です。

ですので、金融機関に依頼するのであれば、まず、「同額借換」で依頼されることをお勧めします。

今までの事例では、公庫や信用保証協会の保証つきコロナ融資の場合は、7割程度は対応していただいています。

4.同額借換を認めてもらえなかったときの対策

7~8割の同額借換が成功する=2~3割は認めてもらえないということ。そうなると残った方法は、「リスケ」しかありません。リスケへのスムーズな移行を目指すため、1ヶ月分は返済することが大切です。

その後、「今回は無理をして資金段取りを行い、何とか返済することができました。が、次回以降、とうてい返済をすることは不可能です。。同額借換は、返済猶予期間を延ばしてもらおうと思って依頼しました。しかし認めてもらえなかったので、次回以降の返済につきましてはリスケをお願いします」と依頼することで、金融機関も事態の深刻度を察知し、リスケ交渉に臨む体制を作ってもらえることが少なくありません。一度融資を断った手前、金融機関はリスケに応じざるを得ない状況になるからです。

労働問題に役立つ保険のご紹介

 昨今の従業員の方の権利意識の高まりにより、ハラスメント問題をはじめとして、退職関係や残業代請求などについてご相談を受けることが増えてきました。

 従業員から企業がハラスメント問題や不当解雇などで請求をうけて紛争となった場合に、賠償金や弁護士費用などで数百万円単位の費用を要することも珍しくありません。

 そのような場合に、賠償金、弁護士費用などを負担してもらえる保険があります。雇用慣行賠償責任保険です。保険会社により一定の支払限度額や免責額などが設定される場合があるものの、かなりの範囲の支払いがカバーされますので、労働問題により会社が受ける損害をかなり限定的にすることが可能です。私も、この保険を利用したご依頼を受けることがありますが、かなりのケースで支払限度額内に支払額を抑えることができており、企業側の負担がないというケースは多いです。

 もちろん、保険料の負担はあるものの、経営者の方は、加入を検討される価値はあるものと思いますので、お付き合いのある損害保険代理店にお問い合わせされてはいかがでしょうか。

 取扱いのある保険代理人店をご紹介することも可能ですので、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。