2023年 3月 の投稿一覧

2023年4月以降の「コロナ資金繰り支援 継続プログラム」について

2023年3月7日に経済産業省と財務省から「コロナ資金繰り支援継続プログラム」が公表されました。

この「コロナ資金繰り支援継続プログラム」については、事業者の資金調達に密接に関わってくるものですので、どういった内容になっているのか解説します。

1.スーパー低利融資」の申込期限を20239月末まで延長

現在、日本政策金融公庫は、新型コロナウイルスの影響を受け資金繰りに支障をきたしている事業者向けに「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を、物価高騰の影響を受け資金繰りに支障をきたしている事業者向けに「セーフティネット貸付」をそれぞれ行っています。

この「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「セーフティネット貸付」については、現在、通常よりも安い金利で借りられる「スーパー低利融資」を適用しているのですが、この申込期限が2023年3月末となっていました。それが9月末まで延長されます。

この延長によって、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の借換を行う場合も、金利が跳ね上がることがなくなり、借り換えしやすくなりました。

2.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を「新型コロナ対策資本性劣後ローン」に借り換えられる

2023年3月までが申込期限だった「新型コロナ対策資本性劣後ローン」の申込期限が9月末まで延長になります。

今回公表された資料には、「「日本公庫のコロナ無利子融資」を「劣後ローン」に借換える(資本性資金に転換する)ことにより、コロナ債務が増大している宿泊業などが民間金融機関から新規融資を受けやすい環境を整備する」と記載されていました。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の同額借換をしても、据置期間は最大5年ですが、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」に借り換えることができれば、返済猶予期間は最大20年となります。

また、民間金融機関にとっては、「資本性ローン」というのは「疑似資本金」扱いにしてくれるので、民間金融機関からの資金調達もしやすくなります。

3.公庫と民間金融機関との「協調融資商品」の組成拡大

「新型コロナ対策資本性劣後ローン」を利用するためには、いくつかの要件がありますが、そのうちの一つに「民間金融機関との協調融資」があります。

これがなかなか難しかったりするのですが、民間金融機関に「協調融資商品」があれば、それを利用することで、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」が借りやすくなります。

「協調融資商品」を組成しているのが91金融機関、覚書を締結しているのが484金融機関あるとのことなので、そういった金融機関を見つけることができれば「資本性ローン」を借りられる確率を高められます。

是非、取引している金融機関に対して「公庫との協調融資商品ってありますか?」「公庫と協調融資についての覚書を締結していますか?」と尋ねてみてください。その返事が「YES」なら、「協調融資」⇒「新型コロナ対策資本性劣後ローン」という道筋をつけることが可能になるかもしれません。

「公庫融資借換特例制度」を活用すれば「据置期間(返済猶予期間)」を伸ばせます

コロナ融資の返済開始が増えるにつけ、

「返済したくても今のままでは返済できない。どうにかできませんか」

という相談は日に日に増えています。

「同額借換」を行うことで、「据置期間(返済猶予期間)」を伸ばすことができます。

民間金融機関による「コロナ融資」の「同額借換」については、「コロナ借換保証制度」がありますが、今回は、日本政策金融公庫の「公庫融資借換特例制度」について解説いたします。

1.公庫は前向きに「同額借換」に応じてくれます。

日本政策金融公庫に対して「同額借換をお願いできませんか」と依頼すると、驚くほどスムーズに対応してくれることが少なくありません。

その理由は、「「公庫融資借換特例制度」という受け口の制度があるから」なのです。

2.「公庫融資借換特例制度」が利用出来る制度

「公庫借換特例制度」で利用出来るのは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」だけではありません。

以下の制度でも借換ができます。

 「経営環境変化対応資金」「金融環境変化対応資金」「東日本大震災復興特別貸付」「令和元年台風第19号等特別貸付および令和2年7月豪雨特別貸付」「事業再生・企業再建支援資金」「事業承継・集約・活性化支援資金」「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付」「挑戦支援資本強化特別貸付制度」

3.借換によるメリット

新型コロナウイルス感染症特別貸付を借り換える場合、「返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)」となっているため、借り換えることで、据置期間が延ばせるというメリットがあります。

それ以外の制度で借り換える場合は、据置期間は原則1ヶ月以内となっているため、据置期間の繰り延べ効果は望めません。しかし、既存の融資の返済期間が短い場合、借換を行うことで毎月の返済負担額を減らすことができます。

通常、毎月の返済負担額を減らしたい場合は「リスケ」するしかありませんが、「リスケ」をしてしまうと、信用格付けが落ちてしまうため、新規融資を受け付けてもらえなくなるというデメリットがありました。

「公庫借換特例制度」で借換を行い、毎月の返済負担額を減らしたとしても、信用格付けは落ちないので、新規融資が必要な場合も、俎上に乗せてもらえます。

4.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」関しては金利が上がる可能性あり

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」関しては、以前借りいれたタイミングによっては、借り換えることで金利が上がる可能性もありますのでご注意ください。 まずは、現在借りている日本政策金融公庫の支店にご相談されることをお勧めします。