中小企業法務

経営者保証を外してもらうために 経営者として知っておくべきこと

中小企業庁は、経営者の思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援するために、「経営者保証に関するガイドライン」を公表しています。

経営者保証に関するガイドラインは、経営者の個人保証について、

(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと

(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること

(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること

などを定めています。

「経営者保証に関するガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、金融庁も積極的に後押しをしていることもあり、以前よりは、活用件数が増えてきています

「ガイドライン」では、(1)法人と経営者の関係の明確な区分・分離、(2)財務基盤の強化、 (3)経営の透明性等が出来ている経営状況であれば、中小企業は経営者保証なしでも融資を受けられる可能性があると解説しています。

 

下記6項目を満たすことで、保証人を外しやすくなる可能性が高まるといえます。

1)会社のお金と、個人のお金をごっちゃにしない

 2)決算書を大幅に黒字化する

 3)自己資本比率を高める

 4)事業計画書を作成する

 5)定期的に金融機関に業績報告を行う

 6)積極的にサポートしてくれる専門家を顧問先にする

そのために、まず、必要なのは、「(6)積極的にサポートしてくれる専門家を顧問先にする」です。

しっかりした専門家がサポートしていれば、(1)~(5)の項目は、自然とできるようになります。

「経営者保証に関するガイドライン」について、詳しく知りたければ、当事務所へご相談ください。

業務改善助成金について

業務改善助成金とは?

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金

(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。

生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上

引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成してくれるというものです。

支給対象者

事業場内最低賃金 1,000 円未満の全国 47 都道府県に事業場を設置している中小企業・

小規模事業者。

※ これまでは、事業内最低賃金が800 円未満の中小企業・小規模事業者が対象でしたが、

今回から、 1,000 円未満の中小企業・小規模事業者と支給対象者が拡充されました。

支給上限額

50万円~200万円

対象用途(何に使えるのか)

生産性向上のための設備投資等にかかった費用

(使用例)

・在庫管理の短縮のためのPOSレジシステム導入

・送迎時間の短縮のためのリフト付き特殊車両の導入

・業務の効率化のためのインターネット受発注機能があるホームページの作成

・業務の効率化のための顧客・在庫・帳票管理システムの導入

・顧客回転率の向上のための専門家による業務フロー見直し

・業務の効率化のための人材育成・教育訓練

支給の要件

1.事業実施計画を策定すること

2.(1) 引上げ後の賃金額を支払うこと

(2) 生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を

支払うこと

3.解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など

詳細は、お近くの専門家にお尋ねいただくか、下記サイトをご覧下さい。

http://www.mhlw.go.jp/gyomukaizen/ (「業務改善助成金特設サイト」で検索)

融資を受けるために押さえておきたい金融仲介機能のベンチマークについて

金融仲介機能のベンチマークとは?

多くの金融機関は、その経営理念や事業戦略等において、金融仲介機能を発揮し、取引先企業のニーズや課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供等を行うことにより、取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していく方針を掲げています。

金融機関が、そういった自身の経営理念や事業戦略等にも掲げている金融仲介の質を一層高めていくためには、自身の取組みの進捗状況や課題等について客観的に自己評価することが重要であると、金融庁は言っています。

こうした考え方の下、金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる多様な指標である「金融仲介機能のベンチマーク」を、昨年9月15日に公表しました。

ベンチマークの具体的項目については、全ての金融機関が金融仲介の取組みの進捗状況や課題等を客観的に評価するために活用可能な共通ベンチマークと、各金融機関が自身の事業戦略やビジネスモデル等を踏まえて選択できる選択ベンチマークを提示しています。

すなわち、共通ベンチマークは、すべての金融機関が守らなくてはいけない項目で、選択ベンチマークは、金融機関の戦略ごとに、行おうとする項目です。

これからの金融機関の融資方針はどうなる?

特に重要なのは、共通ベンチマーク。この共通ベンチマークは、どの金融機関も行わなければならない指標が並んでいます。

その中に、「担保・保証依存の融資姿勢からの転換」という項目があります。これは、「事業性評価融資」をどれだけ増やすことができたか?をチェックする指標です。

「事業性評価融資」というのは、「担保や保証、財務内容ではなく、企業の将来性を重視した融資を行うこと」を言い、担保がなくても、赤字決算でも、将来性が見込める先であれば、融資を積極的にするよう、金融庁は言っています。

だから、これから金融機関は、積極的に「事業性評価融資」を増やして行くようになります。

赤字決算でも担保や保証がなくても融資してもらるようになるには

金融機関が事業性評価融資を行うためには、その企業の将来性情報がとても重要になります。

しかし、限られたマンパワーしかない現在の金融機関には、すべての取引先企業の将来性情報を集めるのは、物理的に難しい。

優先して、「事業性評価融資」をしてもらいたいのであれば、企業自らが自分たちの将来性情報を積極的に提供すること。すなわち、事業計画書の作成が重要になってきます。

事業計画書を作成することで、赤字決算でも担保や保証がなくても融資してもらえる可能性が高まります。

事業計画書の作成については、専門家のサポートが有益ですので、是非お気軽にご相談頂ければ、と思います。

 

融資に関するアドバイスについて

この度、講習を受け、一般社団法人融資コンサルタント協会認定の融資コンサルタントの資格をとりました。

中小企業様の融資や金融機関とのつきあい方などに関するアドバイスやお手伝いを今後積極的にしていきたいと考えて

おりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金について

11月14日(月)から、【小規模事業者持続化補助金】に引き続き、【革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金】の公募が開始されました。

この補助金は、

「国際的な経済社会情勢の変化に対応し、足腰の強い経済を構築するため、経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援する」

というもので、機械設備の導入や専門家経費等に使える補助金です。

今回の補助金の目玉は、補助上限額が3,000万円に大幅に増えたこと。

「第四次産業革命型」(IoT・AI・ロボットを用いた設備投資を行うこと)というのが、上限3,000万円になります。

それだけでなく、雇用・賃金拡充による上限額の増額をすることで、

「一般型」が、上限1,000万円から最高3,000万円に、「小規模型」が、上限500万円から最高1,500万円に、それぞれ増額となります。

この【革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金】を獲得するにあたって重要なことがあります。

1.「公募要領」を隅から隅までじっくりと読むこと。

2.ひとつひとつの審査項目に対して、内容を忠実に記載しておくこと

3.「加点項目」で、獲得出来るところは、確実に獲得すること

の3つです。

特に、公募要領の18ページ~20ページの「(2)事業内容」のところや、27~28ページの「表2:審査項目」のところは、何度も何度も読み返して、「書かなくてはならないところ」を漏らさないように意識してください。

採択される可能性を高めるためのヒントが、たっぷりと書かれています。

【革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金】についての詳細や、公募要領は、全国中小企業団体中央会のサイトで入手できます。

全国中小企業団体中央会 革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金サイト

http://www.chuokai.or.jp/hotinfo/28mh_koubo_2016nov-.html

今回の【革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金】の締切は、平成29年1月17日(火)となっています。

あと、2ヶ月弱ですので、応募を検討されている方は、お早めに作成されることをお勧めします。

中小企業持続化補助金について

11月4日(金)から、「小規模事業者持続化補助金」の募集が開始されました。

この補助金は、「チラシ・ホームページ等制作」や「広告や折り込みチラシ」等、販売促進に使えたり、

売上をもっと上げるための店舗改装に使えたりする、とても使い勝手の良い補助金です。

この補助金の補助上限額は50万円(賃金引き上げ・雇用増加・買い物弱者対策・海外展開への取組を行う事業者については補助上限100万円)と少額ですが、何と言っても使い勝手がいいので、とてもお勧めの補助金です。

詳しい使い道の例を挙げると

・ 新商品を陳列するための棚の購入    ・ 店舗改装

・ 販売促進用チラシの作成・送付      ・ 新たな販促用チラシのポスティング

・ 新商品の開発             ・ 新商品の開発にあたって必要な図書の購入

・ 新たな販促品の調達・配布        ・ ネット販売システムの構築

・ 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)

・ 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加

・ 商品パッケージ(包装)のデザイン改良

・ 国内外での商品PRイベントの実施

・ ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言

・ 新商品開発に伴う成分分析の依頼 等

この補助金の申請先は、商工会議所管轄地域の事業者については、「日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 事務局」、商工会管轄地域の事業社については「都道府県商工会連合会 補助金地方事務局)」となっています。

ここで、注意していただきたいことは、その前に、地元の商工会や商工会議所に申請書を提出して、「事業支援計画書」をもらう必要があります。

今回の小規模事業者持続化補助金の締切は平成29127()ですので、商工会・商工会議所への申込みは、できるだけ1月20日(金)までに、該当地域の商工会・商工会議所に、持ち込まれることをお勧めします。

一昨年から今年春にかけて、この【小規模事業者持続化補助金】をもらった事業者が応募した場合、採択回数に応じて減点となります。

ということは、初めて応募する事業者の方が採択されやすいということです。

それでも、より採択される確率を高めたいと考えているのであれば、この補助金を申請される場合は、周りの専門家に相談されることをお勧めします。

当事務所でも相談をお受けしますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

中小企業は複数の金融機関とつきあうべき

先日、中小企業にアドバイスする士業のためのセミナーを受講しました。

講師の方は、地域金融機関を経て独立されたコンサルタントの方でしたが、勤めておられた金融機関が破綻した際に、新たな融資が受けられなくなった取引先企業のうち、生き残った金融機関には、共通点があったとのことでした。

皆さんは、何だと思われますか?

私は、当てられましたが、正解にはたどりつけず・・・。

正解は、複数の金融機関とのつきあいがあったことだそうです。

確かに、複数の金融機関とつきあいがあれば、一つの取引先が破綻しても、他から助けてもらえる可能性はあるので、当たり前といえば、当たり前ですよね。

また、平時であっても、融資を受ける際に、金融機関との交渉が有利になるようです。

この際に、中小企業は、信用組合や信金などの地域密着型の金融機関と取引をするのが重要だそうです。いざというときにメガバンクや大手地銀が中小零細を救済してくれるかといえば・・・。

というわけで、私もメインの地銀以外に近所の信金で新しく口座を作ることにしました。