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コロナ融資の返済据置期間を延長する 最後のチャンス

2024年3月末で、コロナ融資(信用保証協会の「コロナ借換保証制度」・日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等)が終了となる予定でした。しかし、政府はもう一度、新型コロナウイルス対策として導入した中小企業向け資金繰り支援策を延長することに決めました。その理由は、4月にゼロゼロ融資(民間金融機関による実質無利子・無担保融資)の返済ピークを迎える事業者が多いため、それに対応するべく今回の延長となったようです。

1.事業者にとってのコロナ融資が延長となる最大のメリット

事業者にとって、コロナ融資が延長となる最大のメリットは、「同額借換による返済据置期間の延長ができること」です。コロナの影響はなくなったものの、思うように業績が戻らず、コロナ融資の返済に苦しんでいる事業者は少なくありません。そんな事業者ができるのは、「金融機関に対するリスケの依頼」か「無理に返済する」かの2択になります。「金融機関に対するリスケの依頼」を行うと、今後は融資をしてもらうことはほぼ不可能になりますし、「無理に返済をする」と、資金繰りが悪化して事業の継続に支障を来します。できればどちらも避けたいと事業者が考えるのも無理はありません。しかし、 「同額借換による返済据置期間の延長」ができれば、「リスケ」も「無理に返済する」こともする必要がなくなります。

2.今回が最後のチャンス

政府のスタンスは、「一部の支援策を除き、6月末でコロナ対策の資金繰り支援制度を終える見通し」とのことであり、7月以降はコロナ前の水準の支援に戻していくようです。これが最後の「返済据置期間延長」のチャンスとなります。もう次はありません

3.金融機関に返済据置期間延長の依頼をするデッドライン=20244月下旬~5月中旬

「6月末で制度が終了となるのであれば、6月に申し込んでも十分間に合うのではないか」と思われるかもしれませんが、そういうわけにはいきません。なぜなら、「6月末までに申込み」ではなく6月末までに正式に受理されなければいけない」からです。

民間ゼロゼロ融資の場合、事業者はまず金融機関に「コロナ借換保証による同額借換」を依頼します。

依頼を受けた担当者は稟議書を作成し、支店内で審査をした後、本部の審査を担当する部署でその稟議書を審査します。その審査で「同額借換OK」となれば、当該金融機関から信用保証協会に「コロナ借換保証制度による同額借換」の保証依頼が行われます。その依頼が信用保証協会から受付されたときに「受理」となります。通常、「金融機関に申込み」から「信用保証協会の受理」まで1ヶ月程度はかかります。

公庫の場合は、そこまで複雑ではありませんので、依頼から受理までは通常は1~2週間となります。

「今回でコロナ融資は最後」というアナウンスが出るので、駆け込み申請が爆発的に増える可能性があります。公庫も保証協会も限られたスタッフで業務を行っているため、キャパシティを超える業務量になった場合は、その時点で受付を終了することもあり得ます。また、ゴールデンウィークも絡んできます。確実を期するために、金融機関に対して同額借換の依頼をするのは、「4月下旬までに」するのが得策でしょう。

金融機関から融資を断られないようにするために知っておくべきこと

金融機関に融資を断られたからといって、その事業者が「どこからも借りられない」とは限りません。

手の打ち方によっては、「融資を断られた」とい結果をひっくり返せることもあります。

そのためには、「融資を断られた」理由を把握することが重要です。

1.金融機関が融資を可決/否決する要因

融資の可否には、さまざまな要因が絡みます。下記がその要因の一例です。

その企業の経営内容や財務内容」「経営者の資質や人間性」「金融機関の融資方針」「支店長の性格」「金融機関とその企業との関係性の深さ」「提出した資料の内容」「面談時の経営者のコメントの内容…etc

否決理由は金融機関ごとに違うため、ひとつの銀行に断られたからといって「どこからも融資してもらえない事業者」とは限りません。

2.融資に大きな影響を与える“担当者”

ほかにも、大きな影響を与えるのが「担当者の能力」です。

金融機関が融資をするときは、一般的に、担当者が「融資稟議書」を作成します。

その融資稟議書を、支店内で上司(渉外担当の責任者や貸付担当の責任者)や支店長が審査。そこでOKが出れば、(金額にもよりますが)本部の審査担当部署に送られます。本部の審査担当部署では、少なくとも3名以上が当該稟議書を審査して、融資の可否を判断。つまり、支店と審査担当部署で少なくとも6名以上がその融資案件についての判断を行うのです。

最初に担当者が作成した融資稟議書の内容次第で、可否が大いに左右されやすいのです。

3.優秀でない担当者に当たったときの対処法

このように担当者は融資に大きな影響を与えますが、顧客側で担当者を選ぶことはできません。

なぜなら多くの場合、顧客の住所によって担当者が決まるからです。テリトリーごとに担当者を決めることで、金融機関は渉外活動を効率化しています。担当者の交代を依頼しても、その担当者がよっぽど大きな失敗をして顧客を激怒させたりしない限り、あまり交代は期待できません。

優秀でない担当者に当たったときの対処法は2つあります。

1)もう一つ別の金融機関との取引を行う

つきあっている金融機関が複数あることが前提になりますが、別の金融機関の担当者がより優秀なら、そちらに取引のウェイトを高めることで、金融機関との取引は円滑に進むようになります。

2)担当者の上司(渉外担当役席や貸付担当役席)とのパイプを強固にする

担当者がダメでも、重要なことについてはその上司と直接話をすることができれば不便はなくなります。 逆に意思決定スピードが早くなるため、「すぐ検討してお返事します」「この件、もう取りかかっておきましょう」「急ぎなら、今からでもご訪問しましょうか」といった、打てば響くようなサポートも期待できます