2023年8月8日(火)の日本経済新聞朝刊に、
「中小の倒産予備軍、増加 代位弁済、4~6月7割上回る 物価高・人手不足が重荷」
という経営者にとって気になる記事が掲載されていました。
1.この記事に書かれていた気になること
この記事の内容を要約すると、下記の通りです。
●保証付き融資の返済を信用保証協会が肩代わりする「代位弁済」は、4~6月に9720件と前年同期を
70%上回る水準となった
●全国信用保証協会連合会によると、22年度の全国の代位弁済数は3万148件と前年度比45%増え、
3 年ぶりに3万件を超えた
●24年春にかけて返済が始まる企業は高水準で推移する。返済資金を手当てできずに保証協会の代
位弁済を受ける企業も少なくないとみられる
2.代位弁済となる条件と代償
金融機関によって対応は微妙に違いますが、基本的には以下のケースのとき、金融機関は信用保証協会に対して代位弁済請求を行います。
●信用保証協会の保証つき融資の延滞が3回以上あった場合
●信用保証協会の保証つき融資を3ヶ月以上延滞した場合
代位弁済になると信用情報機関にその事実を登録されるため、他の金融機関からの新規融資はほぼ不可能。これは事業者にとって大きな代償です。
3.保証協会の保証つきコロナ融資返済が難しいときの3つの行動
先述のとおり代位弁済になるまでに90日の猶予期間がありますが、だからといって90日間返済しなくてもいいわけではありません。返済が延滞扱いになると、それだけで今後の新規融資をしてもらえなくなる可能性が格段に上がります。重要なのは、「延滞しないこと」。
保証協会の保証つきコロナ融資の延滞を避けるために、経営者としてとるべき行動が3つあります。
①まず「コロナ借換保証制度を使った同額借換」を取引金融機関に依頼
②同額借換を断られたら、他の金融機関に対して、①と同様の「コロナ借換保証制度を使った同額借
換」での「肩代わり」ができないか打診
③両方とも断られたら、「保証協会の保証つきのコロナ融資」を借りている金融機関に「リスケ」を依頼
同額借換できれば返済据置期間が延長されるので、延滞扱いにはなりません。もちろんリスケした場合も、返済据置期間を設定できるため、その間は延滞扱いになりません。延滞しそうになってから動くのではなく、早めに手を打っておくことで、将来融資をしてもらえる道を残すことができます。
ただし同額借換による返済据置期間中、またリスケ中は新規融資をしてもらえませんので、その点はよく理解してください。